この記事は「髪の毛をサラサラに-1|ツヤの無いパサパサの髪の原因は髪の毛の空洞化?」からの続きです。
「ガッテン!傷んだ髪の共通サイン“空洞化”を防ぐ新常識」(2018年4月18日放送)では、あまり聞き慣れない”髪の毛の空洞化”を取り上げ、原因や対策を解説してくれました。
前記事では、
・街ゆく女性の髪の毛チェックで、8割程度の方に空洞化が見られたこと。
・髪の空洞化発見したきっかけは、ヘアカラーが人によって綺麗に染まらないという問い合わせがあり、その原因を調べていくうちに、空洞化とそのメカニズムを発見したこと。
・ 髪の空洞化は、間違った髪の手入れをしていると、どんどん進行していくこと。
・空洞化は、ヘアカラーの染まり方以外にも、髪の毛のツヤ、ハリ、切れやすさ、うねりなど、全ての髪の毛のトラブルと関係していること。
・空洞化は洗髪時のこすり洗いが関係していること。
などを紹介しました。
この記事では、どのくらいこすり洗いを続けたら空洞化するのか、空洞化させない洗髪方法、少々空洞化した髪でも、サラサラヘアーに変えることができる、プロの技などを紹介します。
<この記事の目次>
◆バージンヘアで洗髪方法を変えて空洞化実験
まず、洗髪方法の実験をしてみることにしました。
やってきたのは、さいたま市にある、人の髪の毛販売会社です。ここで、一番高品質な髪の毛を見せてもらいます。
店員さんが箱から取り出したのは、一束の髪の毛です。
それはバージンヘア呼ばれる髪で、一度もパーマもカラーもしていない貴重な髪の毛なんだそうです。
ちなみに、その値段を聞いてみると、一束で3万円とのことでした。
バージンヘアをチェックさせていただくと、当然、空洞のない健康な髪そのものです。
その髪を購入し、二つに分けて、マネキンに装着させて実験スタートです。
片方のスタッフは、髪の毛をしっかりこすり洗い、もう一方スタッフは優しく髪の流れに沿って洗います。
洗い方以外の条件は一緒、コンディショナーは使わず、すすいだ後は優しく拭いて4分間温風ドライヤーで完全乾燥します。
1回目の洗髪を終えて、カメラで空洞化しているかチェックしてみると、「変わらないですね、変化はないです。」
そう、洗髪1回ではどちらの髪にも変化はありませんでした。
ここから、洗っては、乾かしてを繰り返し、そして5回目に空洞化チェックしました。
優しく洗った方の髪は綺麗です。一方、こすり洗いしていた髪は、白い線が少し増えています。
たった5回のこすり洗いで空洞化が始まることに、スタジオの皆さんも、驚いていました。
更に、洗っては乾かしを繰り返し、そして20回目に再び空洞化チェックです。
この時点で、髪の見た目に違いが出てきました。
優しく洗った髪はまとまり感があり、触り心地はさらっとしていて、カメラで見ても空洞化はありません、綺麗な状態のままです。
一方、こすり洗いしていた髪は、ごわごわしていて指が通りにくい状態です。手ぐしでも引っかかったりします。カメラで見てみると、あちらこちらに太い白い線が見えて空洞化が進んでいます。髪がかなり傷んだ状態になっています。
髪によって差はありますが、20回程度こすり洗いでシャンプーすると、空洞化が起きてしまうことがあるんです。
◆こすり洗いは無意識にやっていることが多い
本当に、皆さん、こすり洗いをしているのでしょうか。そこで大調査です。
水着で入れる温泉施設で、皆さんに髪の洗い方を見せていただきます。
Aさんは、まず髪を濡らして、そしてシャンプーです。よく泡立て地肌を洗ったのまでは良かったんですが、最後に髪どうしをこすり洗いしていました。
Bさんも上手に洗っていると思ったら、やはりこすり洗いをしていました。
さらに、Cさんもこすり洗いしています。
皆さんに、こすり洗いの弊害を説明し、意識してやってるのか聞きました。
3人とも、「知らなかった。」と答えていました。
どうやら無意識にこすり洗いをしていたみたいです。
こうして、女性21人に協力してもらった結果、9人がこすり洗いをしていたんです。
皆さんも、洗髪の時、無意識にこすり洗いをしていないかチェックして見て下さい。
◆空洞化防止、正しい洗髪方法とは
たった5回のこすり洗いでも空洞化が始まるといことですが、ではいったい、どうすればいいのでしょうか。
空洞化を発見された先生に聞きました。
髪の研究を続けて20年、髪の空洞化のスペシャリスト長瀬忍先生です。
「洗髪の目的というのは、地肌の汚れを落とすということが目的です。髪の毛自体はそんなに汚れていないので、地肌の近くで泡を立てて、その泡を髪の毛の先端の方に通して、洗い落とすだけでだけで、髪の汚れは落ちます。」
ヘアケア製品とか、ムース付けてたり、スプレーしたりするんで、綺麗に落とさなければ髪に悪いって思っている方が多いようですが、それは勘違いと先生は言われます。
「ムースやスプレーなどはお湯に溶けますので、洗髪の前にちゃんとお湯で十分流すということが大事です。十分、地肌まで濡れるように流してあげてください。
そうすると、シャンプーの泡立ちも良くなりますので、汚れも落ちやすくなります。
髪をこするとかいうことはしなくても大丈夫です。」
「逆に髪を乾かさなかったらどうなるんですか? 」
「きちんと乾かしていただくことが一番大事です。最悪なのは濡れたまま寝てしまいますと、枕で擦れてダメージが大きくなります。」
ここで専門家がおすすめする髪のケアの方法をご紹介しましょう。
ポイントはよく泡立てることです。
まずは、予洗い、十分泡立てるために頭皮と髪をたっぷり濡らします。長さにもよりますが十分にしっかり濡らしてください。
そしてシャンプーを手に取り、地肌で泡立てながらしっかり洗っていきます。こうすることで泡立ちは段違いです。
泡立ちを良くすることで、たくさんの泡が、髪同士がこすれるのを防いでくれるんです。
髪の長い人は、シャンプーを耳の後ろや襟足からもつけて地肌をしっかり洗いましょう。
髪の毛の先の方は、指で泡を通してあげるだけでOKです。
しっかりすすいだ後は、髪同士がこすれないように、抑えるように拭いてください。
続いてドライヤー、地肌に直接温風を当て、その後、毛先まで全体を乾かしていきます。
使うのは手ぐしや、目の粗いくし、濡れた髪を強くこすらないようにして、髪の流れを整えます。
ドライヤーの熱を心配される方がいますが、ドライヤーの説明書に書いてある使い方( ドライヤーと髪の距離が10cm程度が目安)なら髪の痛みはほとんど心配ないそうです。
濡れたままにしておく方が良くないんです。
地肌に触れた時に完全に湿り気がなくなるまで乾いたらOKです。
濡れた髪を強くこすらないように、このようにケアしてください。
「シャンプーやリンス、コンディショナーは、髪を守ってくれてるもんだと思ってました。」
「リンスやコンディショナーは、髪の毛の滑らかにするっていうことで、こする時の力を弱めることになりますので、それそれ意味があります。」
一度空洞化したもの二度と戻らないのでしょうか?長瀬先生、
「空洞を補修するような技術は、少し提案はされています。 ただ、今すぐに戻るっていうことは、今のところまだハッキリしていません。」
新しく生えてくる毛に関しては、空洞化は大丈夫なんでしょうか?
「新しい髪は空洞化していません。そうですね、1年で15cmくらい髪は伸びますので、2年くらいしたら、入れ変わります。」
◆空洞化した髪でもサラサラに仕上げるワザとは
あることを施したら、コマーシャルのようなサラサラの髪に変身します。女優髪になることができます。
憧れの美髪になれる、とっておきのワザがあります。
シャンプーのCMなどで、CGと見間違うばかりの美しい髪を見ます。
実は、こうした映像は、専門のスペシャリストが実際に撮影をしているんです。
こうしたCMを手がけている、ヘアーディレクターの田中勇輝さん、
スーパーモデルなどと一緒に、20年以上にわたって撮影をしてきました。
髪の毛を美しく見せる専門の技術を持つ人は、田中さんを含め世界に数人とも言われています。
普段、モデル以外の髪に触れることはめったにないという田中さん、今回特別にお願いして、ベリーダンスの田崎さんの髪を綺麗に見せてもらいます。
田崎さんの髪は、先のチェックで空洞化していました。
その髪を見て田中さん、「ダメージを感じるな。」っていう本音がポロリ。
田崎さんにはまず髪を優しく泡で包みシャンプー、さらに髪をいたわるようなコンディショナー、普段はこうした経緯を長期間続けてから撮影をするそうなんです。
しかし、今回すぐにできることとして無理やりお願いして、教えていただいたのは、ドライヤーの技でした。
まず、髪全体を根元から温風でしっかり乾かします。しっかり乾かし切ったら、ここからがポイントです。
まとまらない部分を優しく伸ばしながらドライヤーの温風を当てます。
その後、その同じ部分に整えるように、冷風を当てます。
そうです。この冷風を当てることが、空洞化した髪でも綺麗に見せられる秘訣と田中さんは言います。
仕上がりは弾力性のあるサラサラヘアー状態です。空洞化した髪とは思えないほどの出来栄えです。田崎さん、
「もう、マジックにかかったようなこの極上の手触り、絹糸みたいな手触り。もうびっくりです。」
同様に、三輪さんも冷風を使う技で、髪の毛サラサラになりました。
「すごい、触り心地が違います。しっとりしてるけど、さらっとしててすごいなんかふわふわで気持ちがいいんです。」
でも、なぜ冷風を使うと、こんなに髪がサラサラで綺麗になってしまうのでしょうか。
温風と冷風を髪に交互に当てると、どんな良いことがあるのでしょうか。
確認のため、傷んだ髪を用意して、実験してみました。
バサバサに広がった傷んだ髪を用意して、1分間これを温風だけで綺麗にしようとしてみました。するとやっぱりちょっと広がってしまいました。
今度は、温風と冷風を交互に当ててやってみます、温風の後にすぐ冷風、そしてまた温風の後にすぐ冷風と繰り返しました。
すると、温風だけのものに比べると、かなり髪がまとまった状態で乾燥できました。
そのメカニズムとしては、おそらくこう考えられます。
空洞化してる髪というのは、とてもうねりやすくて、まとまりがなくなりがちなんですが、どうしてそうなっているかというと、髪の中の水素結合というものが大きく関わっているのです。
髪の水素結合はドライヤーの熱で緩みます。
緩んだところをくしで整えると、髪の毛がまっすぐになります。
しかし、これがゆっくり冷めて行くと、周りの湿気を吸って、もとのうねった髪に戻ってしまいます。
こうならないためには、温風で水素結合を緩めて、ブラシで整えて、すばやく冷風を当てて冷ますと、真っすぐにした状態が維持できるということなんです。
「何のためにドライヤーの冷風スイッチがあるのか全く理解できなかったんですよ。いつ使うのという感じで。」と麻木さん。
でも、プロの技なんて真似できないと思われるかもしれませんが、実は、方法があるんです。
温風と冷風を使った髪のセット方法のポイントをご紹介しましょう。
まず温風で地肌からしっかり髪の毛を乾かします。
髪全体が乾ききったら、うねったり、まとまらない部分を手ぐしや目の粗いくしで優しく伸ばしながら、根元から毛先に向かってゆっくり温風を当てます。
その後、すかさず冷風に切り替え、同じ場所に同じようにして冷風を当てていきます。
これを気になる部分毎に行います。
目安は1か所につき温冷を2回ずつです。
実際にこの技を田崎さんと三輪さんにも自分自身で行っていただきました。すると、
「びっくりです。自分でやっても結構変わるものだと思いました。」
◆冷風付きドライヤー
日本で初めて発明、発売された家庭用ドライヤーにはすでに、冷風機能が付いていました。
1937年に作られたヘアードラマ第1号機が日本でも初めてと言われてます。今ではちょっと見ない金属製の家庭用ドライヤーですが、持ち手の部分を見てみると、温風、冷風切り替えスイッチが付いています。
確かに80年以上の前のドライヤーにも冷風機能が付いていました 。
戦後間もなく発売されたドライヤーのチラシには、”冷風で仕上げ”と書いてあります。
冷風の効果はこんなに昔から知られていたんです。気付いていない人が多かったのです。
最新のドライヤーは、冷風を上手に使いこなすための進化を続けています。
ボタンを押すだけで、すぐに冷風に切り替えられるタイプ、さらに温風と冷風が自動で切り替わるタイプなど様々です。
温風、冷風の交互仕上げ、最新のドライヤーを使えばお手軽にできそうです。そして、綺麗な髪を手に入れましょう。
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