いわしなどの魚介類は私達日本人にとっては昔から食生活の土台になっていて、なくてはならないタンパク源でした。
縄文時代の貝塚からいわしの骨が見つかったという事実から、縄文時代以前から、日本人はその食生活にいわしを取り入れていた事が分かります。
最近は日本人の食生活も肉食が中心になり、魚介類離れが進んでいます。
魚は料理をする時の処理が 面倒であるということが一つの理由です。
一方、肉中心で魚離れの食生活は数々の成人病などを引き起こす要因となっていることも事実です。
魚介類は畜産物に比べ大変栄養価が高く、栄養のバランスに飛んでいます。
ほとんど体に不利益になるになるような成分は含まれていませんので、いわしだけでなく、日本近海でとれる魚をもっと、食生活に取り入れるということに目を向けるべきと言えるでしょう。
いわしの種類
いわしというと、一般にはマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシの3種類をさすことが多く、この3種類をまとめていわしと総称しています。
外国ではマイワシはサーディン、カタクチイワシはアンチョビ、ウルメイワシをラウンドヘディングと全然別の呼び方をして、区別しているようです。
いわしは回遊魚で、養殖は難しい魚です。そのため、気候変動や海の環境によって漁獲量が大きく変わり、100倍以上の年間漁獲量の違いが出ることがあり、それによって、価格が大きく変わります。
いわしの不飽和脂肪酸(DHA、EPA)は血管をしなやかに
いわしにはDHA(ドコサヘキサエン酸の略称)、EPA(エイコサペンタエン酸の略称)などオメガ3脂肪酸といわれる、不飽和脂肪酸が多く含まれています。いわし以外にもマグロ、サバ、サンマ、ブリなどに多く含まれる成分です。
オメガ3脂肪酸のうちDHAは血小板の凝集(血栓)を抑えて、血管の詰まりを防いだり、血液をサラサラにしたりする効果があります。
一方、EPAは血管をしなやかにして血液の流れをスムーズにする効果があるといわれています。
このようにDHA、EPAは血管に対して非常に良好に働きかける効果があるため、心疾患や脳疾患のリスクを低下させます。
さらにEPAには中性脂肪を低下させる能力、悪玉コレステロール値や血圧を低下させる働きもあります。
DHA、EPAは熱に強いので、煮たり、焼いたりしても損なわれることがありません。よって、いろんな調理方法で食べることができます。
いわしのカルシウムは吸収率が高い
いわしのカルシウムは、ウルメイワシの丸干しでは100g中500mgくらいあり、牛乳の4倍以上多く含まれています。
さらにイワシのカルシウムは牛乳のカルシウムに匹敵するほど吸収率が高くなっています。
また、いわしにはビタミンDも豊富です。ビタミンDは、骨を形成する時必要なビタミンで、カルシウムやリンの吸収を促進し、骨を丈夫にする効能があります。
特に成長期の子供はいわしの丸干しをたくさん食べるとよいでしょう。
いわしのDHAは脳や全身の働きを活発に
近年、「青魚を食べると頭が良くなる」といわれ、いわしやサンマ、サバなど背中が青い魚が勧められます。
それは、それらの魚がDHAをたくさん持っているからです。
DHAは脳のシナプス膜という膜を作る材料になり、脳の情報を伝達する重要な役割を担っているといわれています。
ですから、DHAが十分にあれば、脳は活発に働き、記憶能力や学習能力も増加します。
よって、脳の老化やアルツハイマーの予防にも効果があるとされています。
DHA、EPAは疲労回復にも効果があるといわれています。
さらに、いわしには、筋肉の炎症を抑えたり、筋肉の疲労回復や持久力アップに効果があり、ボディビルにも取り入れられているアミノ酸、バリン、ロイシン、イソロイシンなども豊富であることもわかってきて、スポーツ栄養学の点からも注目を集めています。