美と若さの新常識「しっかり食べてキレイに!SP」(NHK 2017年10月9日放送)では、下記の内容で、少し違った角度から美と若さに関する情報を発信していました。
■ビタミンC :不足すると、寿命と直接関係する現象が
■ハトムギ:ハトムギの産地の女性の肌年齢を測定、その結果にビックリ
■オメガ3:便秘に大効果、体温も上がって、 新陳代謝 が 上がる
■アルコール:百薬の長はまぼろし? 大量に飲むのは 避けるべし
■旨み成分
などについて、アンチエイジング、体質改善、美肌効果、ダイエットにいたるまで「美と若さの新常識」について、その効果と、レシピが紹介されました。
出演者からも、
「食べるとすごく楽しい気持ちになる。食を通じて、若さを得て、それでみんなで共有するって楽しいなと思いました。」
「ダイエットていうと、どうしても我慢するみたいなイメージあったんです。これ食べたいけどやめとこうとか、そんなことばかり気にしていたんですけど、今日教えてもらったメニューはガンガン食べても良いぐらいの感じで、すぐ実践しようと思いました。」
などと、前向きの感想ばかりで、楽しめました。
番組を参考に、美と若さに関する驚きの新常識を報告していきます。
<この記事の目次>
「DNAの酸化損傷程度を表すマーカー、8-OHdG」、「75歳なのに肌がつやつやの理由はお茶のビタミンC」、「ビタミンCが極端に不足すると寿命が4分1になってしまう?」
「自分の「虚」と「実」を把握してダイエットに挑戦せよ」、「ダイエット出来易い体質に改善」
◆ビタミンCと体内酸化防止効果
我々にとって最も身近なビタミンと言えるビタミンC、その効果は色々なところで紹介されていますが、もう一度、別の角度から確認し、ビタミンCを手軽に取ることができる美味しいレシピも紹介します。
DNAの酸化損傷程度を表すマーカー、8-OHdG
まずは椿鬼奴さんの8-OHdGという体内物質の量を測定することで、老化スピードを測定しました。
東海大学医学部付属東京病院副院長 西崎泰弘准教授によると、「8-OHdGの数値が大きいほど老化スピードが早いといえます。8-OHdGというのは老化の危険因子なんです。」とのことです。
ビタミンCは、この老化の危険因子を減少させることに、大きく関わります。
<参考>
8-OHdGとは遺伝子と関係するDNAの一部分に水酸基(-OH)を導入するヒドロキシル反応(酸化反応の一種)で生成する物質です。
DNAで体内の活性酸素による酸化を受けやすい部分が、比較的簡単にヒドロキシル化されるため、DNAの酸化損傷程度を表すマーカーになります。
8-OHdGは活性酸素による生体への影響を鋭敏に反映するため、現在最も広く用いられている酸化ストレスマーカーの一つです。
活性酸素は生体内において
・DNAと結びついてDNA変異、
・脂質と結びついて脂質過酸化、
・蛋白質と結びついて蛋白質の変性、
・酵素と結びついて酵素の失活
など、様々な疾病や老化の促進に繋がる考えられています。
椿鬼奴さんの8-OHdGの数値は29.1(平常値は11以下)でした。判定は5段階評価で29.1という数値は最も悪い評価ランクでした。
そこで、椿鬼奴さんにビタミンCを飲んでもらい1時間後に8-OHdGを測定すると、なんと13.5まで数値が下がっていました。
このように、ビタミンCには酸化防止効果(還元効果)があり、その結果、老化防止に繋がることが示唆されました。
75歳なのに肌がつやつやの理由はお茶のビタミンC
ビタミンCを消費しやすい生活習慣とは、飲酒や、汗を激しくかく運動などです。
飲酒はアルコールが肝臓に入って、それが代謝されるまでに大量のビタミンCをを消費してしまいます。
また、激しい運動をすると汗を流します。汗にはビタミンCが入っていて、たくさん汗をかくとビタミンCを垂れ流してしまうことになります。
大人で1日にビタミンCの必要量は約1000mg(=1g)程度だといいます。
ビタミンCの効果の1例を紹介します。
75歳になる上野絹子さんのお肌はつやつやでシワもほとんどない状態です。
この若さの秘訣はビタミンCたっぷりのお茶をたくさん飲むことだそうです。
緑茶にはビタミンCが豊富で100gあたり260mgを含んでいます。
なんと、上野さん一家は、お茶を使って、しゃぶしゃぶをします。
そのレシピは、
・茶葉の入ったティーパック:20gのものを2
・だし昆布:適量
・黒豚:人数に合わせ適量
・その他:野菜などしゃぶしゃぶの材料適量
①緑茶の入ったティーパック2つと、だし昆布を鍋に入れて火にかけます。
②沸騰する直前に、ティーパックとだし昆布を取り出してダシの完成です。
③後は、通常のしゃぶしゃぶと同様にして食べます。
緑茶のティーパックを2個使うだけですが、爽やかな感じがして、試してみる価値がありそうです。
ビタミンCが極端に不足すると寿命が4分1になってしまう?
老化の1つの大きな原因は活性酸素です。
活性酸素は免疫機構などとも関係し、人間にとって必要な要素ですが、多くなりすぎたり、変性してしまった活性酸素は、人間にとって毒になります。
よって、ビタミンCを十分摂取して、余分な活性酸素を無毒化することが大切です。
東京都健康長寿医療センター研究所 分子老化制御 石神昭人研究部長がビタミンCが極端に不足すると寿命が4分1になってしまうという、マウスを使ったちょっと怖い実験を紹介してくれました。
普通のマウスと、体内でビタミンC合成に必須の酵素を遺伝子的に作れなくしたマウスを使って、エサにビタミンCが含まれない条件で育て、寿命を比較したのです。
すると、普通のマウスの50%生存率(例えば、10匹中5匹生存)は24か月なのに対し、ビタミンC欠乏マウスの50%生存率はわずか6か月、普通のマウスの4分1しかありませんでした。
ビタミンCが不足したマウスは、体重が減少し、コラーゲン繊維不全による骨密度の低下など、老衰とよく似た症状が起きて、寿命が短く半数は、6か月程度で早死にしてしまったということです。
これほど、ビタミンCは、大切な栄養素であることが分かります。
だからこそ日頃意識して、手軽にビタミンCを取れたらいいですね。
そこで、先ほど紹介したお茶、お茶は私たちの美と若さを守ってくれる強い味方なのです。
しかし、そのビタミンCをタップリ含んでいるお茶ですが、実際にはお茶の成分がお湯に溶けた後、一部、茶殻にも多くのビタミンCが残ってしまうのです。もったいない話です。
しかし、残った茶殻を、ちゃんと食べる方法があります。
それは「美と若さを取り戻すお茶殻としらすの佃煮」です。そのレシピを紹介すると
(材料4人分)
・お茶殻:100g
・しらす干し:大さじ3
・めんつゆ:大さじ1
・酢:小さじ1
・砂糖:小さじ2
①軽く絞ったお茶殻をフライパンで煎っていきます。
②お茶の香りが出てきたら しらす干しを入れていきます。
③火が通ってきたら、砂糖、酢、めんつゆを入れて味付けします。
④その後混ぜながら、水分をできるだけ飛ばすことがポイントです。
⑤パラパラになってきたら完成です。
白いご飯に乗せて、スタジオで試食した井森美幸さん、高橋真麻さんも絶賛でした。
◆無理なく美肌に 薬膳料理
今、女性の間で関心が高まってるのは、薬膳や東洋医学に関する美と若さの新常識です。
中国四千年の歴史、その中で育まれた東洋医学の真髄、日本に伝わって1500年、独自の進化を遂げた漢方医学の効果が、近年科学的に解明されつつあります。
その中で、今回注目するのはその美肌効果です。
実は、漢方でよく使われる生薬の中で、美肌効果が高いものの存在が明らかになったのです。
それはハトムギ( 生薬名 ヨクイニン)です。漢方では、イボ取り、消炎、排膿などの効果があり肌にも良いとされています。
実際に、それを確かめたのは金沢大学名誉教授の太田富久さんです。
太田さんは数年前、ハトムギが美肌効果をもたらす4つの成分(アデノシン、パラクマル酸ナトリウム、フェニルアラニン、グアノシン)を初めて突き止めました。
実験で、これらの成分を、人体の皮膚の線維芽細胞に加え、48時間培養した実験で効果を確認しました。
何も加えていないものの皮膚の線維芽細胞と、ハトムギの成分を加えた線維芽細胞を比較すると、同じ条件で培養しても、ハトムギを加えたものは、線維芽細胞の数が1.7倍まで増えることがわかりました。
老化によって、肌のコラーゲンなどが減るとシワになります。
しかし、コラーゲンを作る新しい線維芽細胞が増えてくれれば、肌は弾力性を取り戻してくれるのです。
さらに、金沢大学は実際の人間で検証し、人間でも新陳代謝が促進され、シミが改善されることを確認しています。
太田先生によると、
「古い細胞が残らないで、次々と新しい細胞が生まれてくると、しっとり感も出ますし、シミやシワも少しづつ解消していき、美肌、美白効果も現れます。」とのことです。
ハトムギの美肌効果はどれくらいのものなのか、調査に向かった先は栃木県小山市です。実は、小山市は日本有数のはとむぎの産地なのです。
市民の皆さんは、お茶や料理でハトムギを摂っているというので、肌年齢を測定する機会を使って、肌年齢チェックを行うことにしました。
集まっていただいた女性達の肌年齢を次々と測定、実際の歳より上か下かを調べます。
結果は、肌年齢が実際の年齢より上の人11人(老けて見える)、下の人37人(若く見える)、同じ人2人と言う結果でした。ハトムギは効果ありそうといえます。
そのハトムギを使った美肌料理は、「ハトムギと白キクラゲのサラダ」です。
材料4人分
・殻を取って茹でたハトムギ: 2/3カップ
・きゅうり: 1本分
・プチトマト: 8個
・白きくらげ:8g
・酢: 大さじ2
・オリーブオイル: 大さじ2
・塩・コショウ:少々
①きゅうり、プチトマト、きくらげこれを全てボウルに入れて混ぜ合わせます。
②味付けに、酢、オリーブオイル、 塩コショウを入れて、完成です。
トマト、きゅうりを入れることによって彩りもきれいで食欲が湧きます。
井森美幸さん「さわやかで、食感が色々楽しめて美味しい。」 と絶賛でした。
高橋真麻さん、
「昔、台湾に行った時に白きくらげのスイーツがすごくたくさんあって、やっぱり美容に良いと言って現地の方はたくさん食べてました。」とのことです。
ハトムギは美肌にいい薬膳の食材、きくらげには潤い効果があるそうです。
◆ダイエット出来易い体質と出来にくい体質がある
食べたいのを我慢しているのに体重が減らない。そんな悩みを抱えている女性がいました。
美容室を営む黒川ゆうこさん48歳(157cm、74kg)です。
黒川さんの毎日の食事は野菜が中心、バランスにも気をつけて、食べる量も決して多くないと言います。
「体重が落ちないんですよ、近年全然落ちにくい。そして体がすごく冷えています。」といいます。
この体が冷えやすいことと、ダイエットがうまくいかないことにどんな関係があるのでしょうか。
そんな彼女に手を差し伸べたのが、日本薬科大学学長の丁宗鐵(ていむねてつ)さんです。丁さんは内科医の実績に漢方の深い知識を活かし治療を行っています。
ダイエットする上で大切なのは、まず自分の体質を知ることだと言います。
「いろんなダイエット法というのはパターンに分けられるんです。そして、自分の体質がどのダイエット法に適しているかを、自分で自己診断し、そした上でダイエット始めないと、単なるお金と時間の無駄遣い、その上、健康も害してしまうことにもなりかねません。」
自分の「虚」と「実」を把握してダイエットに挑戦せよ
そこでダイエットに関する重要な新常識は、「自分の虚と実を把握せよ」です。
診察で見極められた人の体質を、漢方医学では「証」と言います。
証が違えばどんな違いが現れるのか、二人の女性が協力してくれました。
その方法は、2人に1分間、氷水に足をつけてもらい、体温の変化を比べるという方法です。
サーモグラフィーで体温の変化を見てみると、一人の女性の足は冷え切ってしまっています。
もう一人はサーモグラフィーに暖色が見られ、それほど冷え切っていませんでした。
漢方では体温が低くなりにくかった人を「実証」、体温が低くなった人を「虚証」と言います。
「虚証の人は内臓の血液循環を優先して、手足の方にあんまり血液を送らないという傾向があるんです。体全体の代謝が悪くなるんですよ。
実証の人はその逆で、筋肉にも血液をいっぱい送るから、代謝も高いです。だから多少冷やしても、すぐに元に戻してしまうということなんです。
この辺が虚証と実証の違いで、虚証の人の方がダイエットは難しいです。」
と丁さんは言います。
黒川さんも、先生の診断によると虚証体質だということがわかりました。
ダイエット出来易い体質に改善
その冷え体質を改善するのに大切なのは、毎日食べる食材の選び方です。
ショウガ、ニラ、ネギ、にんにく、かぼちゃなどは体を温めてくれる温熱性の食材。
実際に食後の体温の変化を測った実験でも、温熱性の玉ねぎは、寒涼性のナスよりも体温を上げてくれることがわかりました。
温熱性の中でも黒川さんが毎日取り入れようとしたのはショウガです。
<参考>
温熱性の食材:かぼちゃ、ニラ、ネギ、にんにく、生姜、鶏肉、マグロ、紅茶 など
寒涼性の食材:ナス、トマト、きゅうり、もやし、昆布、バター、カニ、緑茶 など
平性の食材:じゃがいも、人参、ピーマン、黒豆、白菜、牛肉、豚肉、イカ、ほうじ茶 など
黒川さん、ダイエットを始める前に測った体重は74.3kg、果たしてこれがどう変わるのか。
4週間にわたる薬膳ダイエット生活が始まります。
体を温め、代謝を促すショウガとネギは毎日欠かさず使います。
ある日の献立、「シソとアジのみそ焼き」も体を温める食材です。
お弁当のご飯には、むくみをとる黒豆を入れます。スパイシーなカレーにも温熱性の鶏肉を使用します。
そして4週間後の黒川さん、4週間前の黒川さんと比べ、明らかに顔の輪郭が変わっていました。
「人に言われます。顔がスッキリしたって。」
そして計量です。結果は70.9kg。
痩せにくかった黒川さんが、体質改善することによって、3.4キロの減量に成功しました。
さらに、テレビ番組:「しっかり食べてキレイに!SP」ダイエットに良い油とは、に続きます。